インプレスグループで山岳・自然分野のメディア事業を手がける株式会社山と溪谷社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:二宮宏文)は、ヤマケイ文庫『登山史の森へ』(遠藤甲太:著)を2023年9月20日に刊行いたしました。
山の雑誌や山岳部・山岳会の会報、山岳書を隅々まで読みながら、歴史を構成する要素となりそうな事項を一件ごとカードにとる。(中略)この作業を何年も重ねて、何千何万と集めたカードを、ある視点から整理する。遠藤が定めた視点は「正統登山史年表」で、それによって取りあげられぬもの、つまり「落としもの」が生じた。その「落としもの」たちに着目し、根掘り葉掘り、尾鰭を加えた物語化は、遠藤の並ならぬ好奇心・詮索好き・凝り性が成せる業に依る。
――解説(布川欣一)より
「人間なんて脆いもんね」。川端康成の『雪国』に登場する駒子が語った山岳遭難。それは谷川岳の岩壁で実際に起きた遭難事故をモデルにしていました。また、夏目漱石『二百十日』で描かれた阿蘇での道迷いによる遭難未遂。これは漱石が実際に山で道に迷った体験を元にしたものでした。
そのほか、カモシカ山行の由来とは。沢と谷とはどう違うのか。日本でザイルが初めて使われたのはいつか。初登頂前夜の一ノ倉沢の状況。『単独行』に登場する加藤文太郎の友達とは。松濤明『風雪のビヴァーク』秘話など、「正統登山史」には登場しない登山史の〝裏側〞を丹念な調査で読み解いた一冊です。知られざるソロクライマーを描いた「失われた記録――立田實の生涯」のほか、『岩と雪』に掲載され話題を呼んだ「山――陶酔と失墜」を特別収録しました。
*平凡社から2001年に刊行された同名単行本に、著者手沢本の書入れを反映させ、さらに「山―陶酔と失墜」を追加して文庫化したものです。
*瑞牆山、白馬岳、剱岳源次郎尾根について、命名の由来を探った『「山名・地名」異聞抄』の試し読みが下記URLからできます。
試し読み:https://www.yamakei.co.jp/products/be171971aa47906c230866c64fa73051.pdf
◆目次
Ⅰ 登山史の落としもの
<落としもの袋>/カモシカ山行の由来/パンとおソバと山と/愛すべき山の犬たち/上空から見た登山者/ヒマラヤの山名異聞/「山名・地名」異聞抄/山岳書誌命名の由来/沢と谷とはどう違う/登山家が名づけた山/文士と山との間がら/ザイルの使用事始め/ヘンな山の道具たち/戦時下の登山者たち/知られざる山女たち/加藤文太郎の友達/松濤明のパートナー/初登攀前夜の一ノ倉/遺稿『高みへの序曲』/「不可能神話」の崩壊/知られざる初登攀者
Ⅱ 山と人間
アウトサイダーの系譜/クライマーとしてのW・ウェストン/アルピニスト松濤明考/失われた記録――立田實の生涯/人間・小西政継/長谷川恒男とその時代/ラインホルト・メスナーの孤独/登山、その限りなき退潮/最後のマタギ、工藤光治氏に聴く/ソロクライマーの謳う歌/山――陶酔と失墜
おわりに
父、遠藤甲太(遠藤賢治)
解説・『登山史の森へ』への道程(布川欣一)
人名索引
◆著者紹介
遠藤甲太(えんどう・こうた)
1948年生まれ。詩人、エッセイスト。12歳のころから詩作と登山、岩登りを始める。谷川岳一ノ倉沢滝沢ルンゼ状スラブ冬季初登攀、一ノ倉沢αルンゼ冬季単独初登攀、カラコルム・ラトックⅠ峰初登頂などの記録をもつほか、谷川岳や海谷山塊、雨飾山、明星山などの開拓に取り組んだ。2005年刊行の『目で見る日本登山史』(山と溪谷社)において、「日本登山史年表」を担当。雑誌『山と溪谷』では、長年にわたり「読者紀行」の評者を務める。著書に『山と死者たち 幻想と現実の間に』(白山書房)、『父と子の多摩川探検隊』(平凡社)、編著に『新編 風雪のビヴァーク』(山と溪谷社)などがある。2020年逝去、享年71。
◆書誌情報
書名:ヤマケイ文庫 登山史の森へ
著者:遠藤甲太
発売日:2023年9月20日
定価:1,650円(本体1,500円+税10%)
判型:文庫判
ページ数:512ページ
ISBN:978-4-635-04978-8
https://www.yamakei.co.jp/products/2823049780.html
【山と溪谷社】 https://www.yamakei.co.jp/
1930年創業。月刊誌『山と溪谷』を中心とした山岳・自然科学・アウトドア・ライフスタイル・健康関連の出版事業のほか、ネットメディア・サービスを展開しています。
さらに、登山やアウトドアをテーマに、企業や自治体と共に地域の活性化をめざすソリューション事業にも取り組んでいます。
【インプレスグループ】 https://www.impressholdings.com/
株式会社インプレスホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役:松本大輔、証券コード:東証スタンダード市場9479)を持株会社とするメディアグループ。「IT」「音楽」「デザイン」「山岳・自然」「航空・鉄道」「モバイルサービス」「学術・理工学」を主要テーマに専門性の高いメディア&サービスおよびソリューション事業を展開しています。さらに、コンテンツビジネスのプラットフォーム開発・運営も手がけています。
以上
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【本件に関するお問合せ先】
株式会社山と溪谷社 担当:神谷浩之
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング
TEL03-6744-1900 E-mail: info@yamakei.co.jp
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