A.むしろ常識や良識のおかしさを知ってもらい、ウンコの実態(命のもと)やノグソの意義を広めることが大切です。自信を持とう!
(P50「ノグソへの疑問と批判に答える」より)
さて、新刊書籍のご案内です。
ワンゲルで連載をしていた糞土師・伊沢正名さんの新刊
『「糞土思想」が地球を救う 葉っぱのぐそをはじめよう』
本日より発売中です。
「ノグソ?下品で汚い話だな」と脊髄反射的に拒否反応を起こす方も
少なからずいらっしゃるでしょうが、そうでもない人はお付き合いください。
「食への感謝」はよく聞きますが、行動が伴わなければ世界は変わりません。
正しいノグソをすれば、ウンコは虫や獣に食べられ、菌に分解され、次の命へと繋がります。
糞土師のノグソは決して単なる奇抜な趣味という訳ではなく、
哲学と信念と情熱があるのです。
本書は誰でもできる正しいノグソのやり方と、お尻を拭く葉っぱ図鑑、
そして糞土師の信念「糞土思想」をまとめた渾身の1冊です。
まずは伊沢さんのプロフィールをご紹介します。
伊沢さんは多感な少年時代に人間不信に陥り高校を中退、放浪の旅に出ましたが、
旅の中で人と触れ合い、自然保護活動を始めます。
やがてキノコの魅力に目覚め、独学で写真を学び、キノコやコケ、変形菌の写真家となります。
現在は「元・自然写真家」とプロフィールにありますが、
キノコ図鑑を見れば伊沢さんの名前が必ずあると言っていいほどの大家です。
伊沢さんの撮影地で自宅のある茨城県某所はキノコの名産地だと誤解されて
キノコブームの折には人が押し寄せた、なんていうエピソードがあるくらいです。
そんな伊沢さんがノグソを始めたのは43年前。
屎尿処理場建設反対運動を見たことがきっかけでした。
そんな汚いものが近所にあるなんて嫌だという住人たち。
とはいえ、彼らも人間なので、当然ウンコはします。
ウンコをするなら処理だってしなければいけないのですが、
それは自分たちとは離れたどこか遠いところでやって欲しい。
若き伊沢青年は考えます。
「しかし、それはあまりに無責任ではないか?
とはいえ、自分もトイレを使っているのだから、今のままでは立場は同じだ」
そこから、「じゃあ、ノグソを始めよう」となる人は滅多にいないでしょうが、
滅多にいない人物こそが伊沢さんです。
*このあたりの顛末は前著『くう・ねる・のぐそ』(ヤマケイ文庫)に詳しいです。
本書は3章で構成されています。
1章では、正しいノグソの方法「伊沢流インド式ノグソ法」や
災害サバイバルで役立つノグソを紹介します。
高山帯などノグソができない場所で使える「牛乳パック持ち帰り法」も紹介。
ワンゲル読者さんには役に立ちますね!
ノグソの疑問と批判に答えるQ&Aも掲載。
その中でも個人的にNo.1な回答が冒頭のものです。
伊沢さんが「変わった人」なのはまあ間違いないのですが、
世間の「常識」も知っていてなおノグソを続けていることがわかります。
勇気を出して世間の「常識」を飛び越えましょう。
2章は、お尻を拭く葉っぱ図鑑です。
尻触りや拭取力、さらに同じ葉でも枯れ具合や表面・裏面などで細かく分類。
フキやヨモギ、タンポポなど、身近な葉っぱを「お尻で拭く」という視点で解説します。
使って読んで楽しい図鑑です。
3章は伊沢節全開の糞土思想です。
「食は権利、ウンコは責任、ノグソは命の返し方 」
「ウンコに向き合うことは、自分自身の生きる責任に向き合うこと」
という言葉に表れる、自然との共生をとことん突き詰め、行動する糞土思想。
ウンコへの認識が180度変わります。
直球タイトルの本をレジに持っていくのが恥ずかしい…
そんな常識をすぐに捨てられないシャイな人も安心してください。
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